日本においても地方の都市化がそれほど進行していなかった時期には、気管支ぜんそくの患者さんの転地療養(治療のため地方への引っ越し)も行われてきたようですが、近年では日本中で都市化が進行し、以前とは状況が異なってきています。つまり、どこの街へ行っても自動車の排気ガスやディーゼル排気ガスが大量に排出されており、大気汚染も進行してきております。
また、家庭での生活様式も、食生活は当然のことながら、住居環境も含めて大差はないという状況です。その上、スギ花粉は沖縄や北海道ではほとんどなくても、イネ科やキク科の雑草などはどこにでも生息しておりますし、ダニやハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎(鼻過敏症)は世界中どこでも起こりえます。花粉症の治療や予防対策としては、引っ越しよりも、住居環境を整えたり、花粉対策を講じたり、あるいは継続的な治療を受けるなどの努力をされる方が良いのではないかと考えます。
また、自動車社会の発展により、ディーゼル排気物質(DEP)をはじめとする大気汚染物質が、都市部以外にも汚染をしていることが指摘されております。ディーゼル排気物質(DEP)をはじめとする大気汚染物質が、花粉と一緒に鼻粘膜に付着すると、アレルギー反応が引き起こされやすくなります。窒素酸化物 やオキシダントが粘膜を傷つけるため、花粉やハウスダストなどの異物が鼻粘膜に付着すると取れにくくなり、異物がアレルゲンとして人体に認識され、アレルギー症状を引き起こすのです。ディーゼル排気物質(DEP)は、IgE抗体(「IgE」と呼ばれるタンパク質で作られた抗体の総称)が作られる量を増やすだけではなく、Th2細胞から「インター ロイキン−5」などのサイトカインと呼ばれる化学伝達物質が作られるのを促し、マスト細胞からのヒスタミンの放出を増やし、さらに、気道の過敏性を高める 働きまで持っていることが明らかになっています。こうした事実からディーゼル排気物質は各種のアレルギー疾患が増える原因になっていると言えます。
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