ディーゼル排気物質(DEP)をはじめとする大気汚染物質が、花粉と一緒に鼻粘膜に付着すると、アレルギー反応が引き起こされやすくなります。窒素酸化物やオキシダントが粘膜を傷つけるため、花粉やハウスダストなどの異物が鼻粘膜に付着すると取れにくくなり、異物がアレルゲン(アレルギー疾患を持っている人の抗体と特異的に反応し、そのアレルギー症状を引き起こす原因となる抗原)として人体に認識されやすい状況を作るという学説が有力です。
1987年、日本での疫学的な研究から、スギ花粉の飛散量が同じでも、自動車の交通量が多い地域は少ない地域よりもスギ花粉症の患者の数が多いという事実が明らかにされました。1990年に東西ドイツの統一が実現し、旧東ドイツにも工業化の波が押し寄せた結果、大気汚染が進行するにつれて旧東ドイツ地域に住む子どもたちにも花粉症(花粉アレルギー)が増加したことが確認されています。
その後、動物実験や人間の臨床試験から、ディーゼル排気物質は、IgE抗体(「IgE」と呼ばれるタンパク質で作られた抗体の総称)が作られる量を増やすだけではなく、Th2細胞から「インターロイキン−5」などのサイトカインと呼ばれる化学伝達物質が作られるのを促し、マスト細胞からのヒスタミンの放出を増やし、さらに、気道の過敏性を高める働きまで持っていることが明らかになっています。こうした事実からディーゼル排気物質は各種のアレルギー疾患が増える原因になっていると言えます。
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