西洋の国々でも、日本と同じように国民の25〜35%が何らかの花粉症(花粉アレルギー)をはじめとするアレルギー性鼻炎の患者であるとされます。また、花粉症(花粉アレルギー)は、花粉の飛散が発症にかかわる重要な因子ですから、どんな花粉症(花粉アレルギー)が起こるかは、その国の植物の分布状況に大きな影響を受けます。
日本では、スギ花粉症が最も多く、北欧ではシラカバ花粉症が最も多いのは、当サイトの「北海道の花粉症(花粉アレルギー)の特徴」で前述のとおりです。北米やイギリス、フランス、ドイツなど酪農が盛んな国々では、ブタクサ、カバ、ヨモギなどの牧草による花粉症(花粉アレルギー)などが問題となっております。
日本の花粉症(花粉アレルギー)の状況を考える上で、参考になるであろう中国の事情に関して説明していきましょう。単純に中国と言っても、非常に広大な国ですので、中国内の地方によって食物の分布状況は異なってきますから、主な花粉症(花粉アレルギー)の患者数の割合も地方によってずいぶんと異なってくるようです。このページでは、比較的最近において発表された論文の要旨を紹介していきましょう。
上海(シャンハイ)の中学生2千名あまりを対象にした調査では、ダニ特異的IgE抗体(ダニだけに反応する特異的な「IgE」と呼ばれるタンパク質で作られた抗体の総称)を持っている子どもは200名程度、そのうちで50名程度は寄生虫に感染しておりました。寄生虫に感染した中学生で、くしゃみなどの症状が頻繁に認められる子どもは、ほかの子どもよりもダニ特異的IgE抗体の量が多いことが判明しました。
花粉症(花粉アレルギー)に関しては、スギ、ヒノキ、柳スギの特異的IgE抗体(特定物質だけに反応する特異的な「IgE」と呼ばれるタンパク質で作られた抗体の総称)を持つ子どもが1%前後いたものの、花粉症(花粉アレルギー)の症状との関連性は認められませんでした。つまり、上海の中学生は日本の中学生よりも花粉に対する特異的IgE抗体を持っている率は低く、スギ花粉症が増加する以前の日本の中学生に近いことが考えられると言うわけです。
また、広州市の大学生を対象にした調査では、ハウスダストとコヒョウダニに対する特異的IgE抗体を持っている率は37〜45.9%、スギ花粉に対する特異的IgE抗体を持っている率は1.9〜2.7%と低かったそうです。
しかしながら、東京に在住している中国からの留学生には、スギ花粉症が多く認められ、来日から平均4.35年で発症し、眼の痒み(カユミ)が強いという特徴が認められたと報告されています。そして、スギ花粉症を発症した中国人留学生の出身地は、上海、西安、北京、山西省、福建省で、中国産柳スギの分布と一致する傾向があったそうです。
これらの報告を総合的に解釈すると、中国に住んでいた時に柳スギやスギに対する抗体を作りやすくなった人が留学生として来日し、東京都内に比較的長期間生活しているとスギ花粉症になりやすい。その原因は東京都内の環境因子ではないか、と言う仮説を想像することができるのではないのでしょうか。日本国内でも、スギ花粉の飛散量とスギ花粉症罹患率が必ずしも完全に一致するわけではなく、花粉の飛散量以外に大気汚染など別の因子が関係しているのではないかと考えられています。
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